私は現在、D PROと一般のろう者との間に距離があるように感じています。
D PROでは、手話教授法・手話学・ろう文学などの研究が進められ、多岐にわたる分野で精力的に活動しています。しかし、そのことが一般のろう者から見ると、D PROが特別で遠い存在となってしまっているようです。
この「リレーエッセイ」の企画は、D PROスタッフの個々の意見や考え方をリレー方式で伝えることで、一般のろう者にD PROは決して特別な存在ではなく、同じろう者で同じ考えをもっていることを分かっていただき、この距離を埋めるきっかけになればと思っています。
私がD PROに入会して早10年が経ちました。この10年間で多くの貴重な体験をし、いろんなことを学んできました。この10年間を振り返るとともに、私がD PROに出会った時のことを思い出すと、当時のD PROには今のような特別で遠いというイメージは全くありませんでした。私が最初にD PROと出会ったのは、1994年に新宿で開催された「THE DEAF DAY '94」です。その時にいたD PROスタッフに、私は同じろう者として親しみを感じ、また考えに共感でき、ぜひ一緒に活動したいと思ったのです。その後、私はD PROが企画した2泊3日のキャンプ(那須で開催)に参加しました。キャンプでは、レスリー氏が講演し、参加者がそれぞれの考えや思いを語り合い、みんなが同じ目標に向かい一致団結していました。
しかし、現在のD PROには当時のような団結力が薄れているように私には思えるのです。D PROは「ろう者がろう者としてろう者らしく生きることができる社会」の実現をめざし、社会で積極的に活動してきましたが、大切なことを忘れつつあることに気付きました。それは一般のろう者のことです。本来は、一般のろう者に我々の考えを知ってもらい、一緒に活動するべきはずが、D PROだけで活動を進めてしまっていた感があります。D PROスタッフが活動や研究に多忙を極めていることが、一般のろう者との間に距離が生まれてしまった理由の一つかもしれません。実際、一般のろう者にD PROは近寄りがたく遠い存在だと言われ、現状に気付き反省しました。
私もD PRO以外の友人に会った時にD PRO関係の話をしようかと思うのですが、何となく雰囲気が違うようで話せないでいるのです。この現状を変えるため、また一般のろう者との距離がさらに遠くなる前に、何をすべきかを考える必要があります。D PROは今まで通り手話学・ろう文化、歴史、教育などを社会に広めるための活動を積極的に続ける一方、一般のろう者と交流を深めるために、キャンプや交流会などを企画して、今ある距離を埋めていきたいと思います。
これからも一般のろう者からの意見をファックスやメールだけではなく、実際にお会いして聞きたいと考えておりますので、ぜひみなさんの声を聞かせてください。
では次に「リレーエッセイ」のバトンを渡す方は・・・
10年前に活動を始めた当初、仲間の中で特に目立つ存在で私と非常に意見が合う女性がいました。彼女との出会いは三田福祉会館のASLの講習会に参加した時です。講習に参加したものの授業はあまりおもしろくなく、たまたま近くにいた女性と話をし始め、意気投合しました。その後、ASLを学ぶというよりは、授業後のおしゃべりが楽しみで毎週通いました。彼女と出会ってから10年。共に学び成長し、現在もD PROで一緒に活動しています。彼女の名前は赤堀仁美さんです。彼女は大変広い視野を持ち、多くのろう者との交友関係があり、人間性にあふれ、またスポーツの世界でも有名な方です。赤堀さんにバトンを渡したいと思います。(2005年)